第二章 動物病院開業

ヤマギシズムとの出会い

妻がヤマギシズム特別講習研鑽会(特講という)に参加したのは、長男が4歳になった夏でした。7泊8日のセミナーへ二人を送り出すのはとても心配でしたが、甲府からも3人ほど子連れで参加すると聞いて安心でした。またその家族の方々とも友達になれたので楽しみも増えた気がしました。ヤマギシズムという団体は、農業を通じ環境問題や子育て環境を考えるセミナーを全国で開催していて、はじめ宗教団体かなと思ったのですが、農業生産物や畜産物を“ヤマギシの村”ブランドで販売していたので、農業団体と認識しました。

妻と子供たちがヤマギシの村に行っている間、家には毎日のように村に住んでいる尾崎さんという人が訪ねてきました。顔は真っ黒に日焼けして、いつも作業着でした。あまりしゃべらない人でしたが、初めて会った気がしなかったのがふしぎでした。彼が居間にいて、かってにお茶を入れて飲んでいても驚きませんでした。その夜はいっしょにご飯を食べて、いろいろな話をして11時頃にはヤマギシの供給所がある町田まで帰って行きましたが、次の晩にはまた甲府にいました。結局家族がヤマギシの村に行っている間、尾崎さんとは毎晩いっしょでした。そして7泊8日のセミナーを終え全員元気で帰ってきました。その夜は参加者家族みんな我が家で食事して楽しかったことを覚えていますが、特講の事を聞いても誰も内容については話そうとしなかったのです。

翌日から何かが変わっていました。じつを言いますとセミナーに参加する前まで、子供の事とか、仕事を手伝わないとかが理由で夫婦仲がかなり険悪になっていましたが、その妻が帰ってからはとても穏やかになっていました。気持ち悪いくらいニコニコしていて、きっとセミナーで何か洗脳されたのだと思うほどでした。どんなセミナーかと聞いても教えてくれませんでしたし、必ずそのあとで自分の参加を勧めたので聞かないようにしました。8日間も仕事を休めるわけがなかったからです。

ところが、長男がヤマギシの村の子供楽園村から帰ってから1か月くらいたったのですが、喘息発作を起こしていないことに気づいてから特講に興味を持ち始めてしまったのです。8日も休んだら大変なことになるなと思ったのですが、韮崎病院の獣医に相談したら「いつも頑張って仕事しているから休んでもいいですよ。」と言われ、少し参加に気持ちが傾いていた時に、はじめヤマギシを紹介してくれた奥さんのご主人がその月の特講に参加すると聞いたのですぐに様子をうかがいに行きました。そのお宅のご主人(Tさん)が言うには、彼も1年ほど前から講習会への参加を勧められていて、ずっと拒否していたが彼の奥さんが参加後、とても前向きな考えになってきた事と子供たちが元気になったことで興味を持ち今回参加することにしたということでした。

なるほどと思いTさんとも打ち解けていろいろ話し合った結果、自分も次回の特講に参加することを決めました。参加しようと決心したら心が落ち着いたのを覚えています。そして、私がこのセミナーに参加したことで家族の運命が大きく変わっていったのでした。

第三章 ヤマギシの村へ 特別講習研鑽会につづく